前回は、投資の大原則として、運用商品の選定にあたっては「資金の色分け」を行ったうえで、資金使途に応じた「目的」、「期間」を明確にすることが重要であるとお伝えしました。今回はさらに一歩踏み込んで、運用商品の選定ポイントと、投資信託を活用することによるメリットについてご紹介します。(みずほ証券 石隈鉄太郎)
日本の株式パフォーマンスは長期的にもマイナスだった
運用商品の選定ポイントをご説明するにあたって、まずは前回お伝えした「日本で資産運用が根付いていない」背景を掘り下げてみたいと思います。
これにはさまざまな要因が想定されますが、最も影響を与えたのは、国内外の株式市場におけるパフォーマンス格差であると考えられます。図は、日・米・欧(独)における主要株式指数の長期的なパフォーマンス(1990~2016年)を計測したものです。この期間で、米国においては7.5倍、ドイツは8.2倍にまで拡大していますが、日本は0.8倍と、株式市場は低迷していました。
つまり、単純に日本株で運用をしていても資産を増やすのは難しかったといえます。このような環境であったため、(主に日本株で運用していた)日本の投資家は資産運用による成功体験が少なく、追加投資や新規投資に対するモチベーションが醸成されにくかったと考えられます。
では、日本の株式市場が低迷していたのはなぜでしょうか。これにもさまざまな要因が想定されますが、その理由の一つとして「経済成長の格差」が挙げられます。