▽海外の資金需要を取り込む
ソーシャルレンディング事業者の海外展開にも期待したい。新興国は日本よりも経済成長率が高いこともあり、魅力的な利回りの案件を見つけやすいこうした国では社会インフラが未整備で、事業の元手資金が足りない状況が見られる。事業資金さえあれば、一定の収益が見込まれるともいわれる。
現在、新興国における事業性資金を融資するファンドはまだ少ない。海外案件に投資する最大のリスクは為替だ。仮に、資金需要者が返済できたとしても、為替の変動によって損失を被る可能性がある。それでは、ソーシャルレンディング本来の趣旨と異なってしまう。
今後、ドル建て口座で投資家のタイミングで日本円に転換できるようにすれば、投資家は投資しやすくなる。今後、こうした資金需要を取り込むことでさらなるソーシャルレンディング市場の発展が期待できるだろう。
▽分散投資の理解促進
投資家への理解促進も欠かせない。ソーシャルレンディングの過去3年間における貸し倒れ件数は0件と高い水準を誇っている。その保全性の高さから、どこか預金のような感覚で投資を行っている投資家も少なくないように見える。しかし、ソーシャルレンディングはあくまでリスクのある金融商品だ。事業者の経営状況や借り手企業の貸し倒れにより投資家が損失を被ることもある。