彼らの状況を知るのは”事件”の時だけ ロヒンギャ問題とメディア、そしてスーチー氏の立場 (1/3ページ)

ミャンマーから国境を越えてバングラデシュに逃れてきたロヒンギャ難民=3日、南東部コックスバザール近郊(AP)
ミャンマーから国境を越えてバングラデシュに逃れてきたロヒンギャ難民=3日、南東部コックスバザール近郊(AP)【拡大】

 【飛び立つミャンマー】根本敬・上智大学教授のビルマ考現学(28)

 ■ロヒンギャ問題とメディア

 ビルマ研究に携わる者にとって、ロヒンギャ問題は憂鬱なテーマである。英領植民地期まで起源を遡(さかのぼ)れるこの問題は、民族問題と宗教問題と人種問題が複雑に絡みあい、現代ミャンマーが抱える数々の問題の中でも、最も解決に向けた道筋が見いだせないイシューだといえる。

 記者も勉強不足

 メディアは大規模な難民流出や人権抑圧が生じたときにだけ、ロヒンギャを取り上げる。今回は8月25日に発生した「アラカン・ロヒンギャ救世軍」を名乗る集団による政府軍基地への襲撃を機に、報道が急増した。軍と警察による対抗措置に恐怖を抱いたロヒンギャ住民が隣国バングラデシュへ万単位で難民となって流出する事態になって、注目はいっそう高まった。

 10万単位の大規模な難民流出としてはこれで3度目だが、それより小さい規模の流出は軽く10回を超える。ロヒンギャは常に抑圧的な状況下で生活を強いられている。しかし、人権非政府組織(NGO)による恒常的な発信を別にすれば、一般の人々が彼らの状況を知るのはメディアを通じて今回のような「事件」が報道されるときだけである。

問題の背景を知らない記者が多い