日銀、金利誘導導入1年 (3/3ページ)

早川英男氏
早川英男氏【拡大】

  • 木内登英氏

 --北朝鮮情勢が緊迫化している

 「ショックが大きいほど金利操作は難しくなる。特に金利が低下しているときは、買い入れを減らしながらも、国債を買い続ける矛盾した動きになり、日銀は金利低下を食い止められるか試されることになる」

 --日銀に期待する議論は

 「市場調節に関しては次善の策として、銀行の貸し出しや社債発行の金利に合わせ、操作する金利を5年、2年へと段階的に短くするのが現実的だ。国債購入量を減らせて金利が操作しやすくなる上、出口戦略も容易になる。2%の物価上昇目標は、中長期で目指すべきだ。通常の中央銀行の物価目標から、国民の目標のような位置づけに変えたらどうか」

 --次の総裁に求める条件は

 「大規模緩和の後始末をする5年間になるため、リスク管理がしっかりできることが大切だ。政府と適切な距離感を保てることも大事だ。景気減速の局面で、政府が財政を出す際、日銀は再び国債買い入れを増やし、実質的な財政ファイナンスを強いられる可能性がある。国債買い入れの限界を考えるとリスクの高い政策だ」

【プロフィル】木内登英

 きうち・たかひで 早大政経卒。1987年野村総合研究所入社。2004年野村証券に転籍、07年から経済調査部長兼チーフエコノミスト。12年日銀審議委員就任。17年7月から野村総研エグゼクティブ・エコノミスト。53歳。千葉県出身。