所得税改革は先送りの公算 政府・自民税調、来年度改正論議を開始 (1/2ページ)

政府税調の総会であいさつする中里実会長(中央右)=26日、東京都千代田区
政府税調の総会であいさつする中里実会長(中央右)=26日、東京都千代田区【拡大】

 政府と自民党の税制調査会は26日、それぞれ会合を開き、来年度税制改正に向けた議論をスタートした。安倍晋三首相が衆院解散を表明したことで、増税となる世帯からの反発を招きかねない所得税の抜本的な改革は先送りされる公算が大きい。一方、自民党の会合では、衆院選で争点となる消費税の使途変更についても意見が交わされたようだ。

 政府税調の総会では、情報通信技術(ICT)の進展に対応した税制の見直しについて議論。モノやサービスを有料で貸し借りして使う「シェアリングエコノミー(共有型経済)」をめぐる課税漏れなどの課題について整理した。

 だが、政府・与党が力を入れてきた所得税改革については触れられず、一部委員からは不満の声も聞かれた。委員の神津里季生連合会長は、自民党税調の宮沢洋一会長が、来年度税制改正で所得税改革について議論する方針を示したことを指摘。その上で、「政府税調も所得税について、さらに先の見直しに向けた議論の再開を検討すべきだ」とする意見書を提出した。

 これについて、政府税調の中里実会長は総会後の会見で、「多様な働き方に対応した仕組みなどを目指す観点から、(所得税改革の)議論を丁寧に行いたい」と述べるにとどめた。

加熱式たばこの税率引き上げなどの検討項目も確認