「人づくり革命」費用は消費増税分から 総額2兆円のうち1.7兆円捻出 残りは歳出削減で対応

 政府が、看板政策の「人づくり革命」で教育無償化などに投じる約2兆円について、消費税率10%への引き上げに伴う増収分から1兆7000億円程度を捻出する方向で調整していることが27日、分かった。残りの約3000億円は歳出削減などによる確保を検討する。現役世代の教育費負担は減るものの、財政再建は遠のく。

 政府は、消費税率を8%から10%に引き上げると、増収分は約5兆6000億円になると仮置き。半分の約2兆8000億円を借金返済に充て、残り約2兆8000億円は社会保障充実などの歳出に使うことを検討している。

 約2兆8000億円の歳出拡大のうち1兆7000億円を教育無償化などの人づくり革命関連の施策に充てる方向だ。

 残りの1兆円超は、低年金者への年6万円の給付金や、低所得者の介護保険料の軽減などに充当する。

 安倍晋三首相は人づくり革命で、3~5歳児の幼児教育の無償化に加え、給付型奨学金や授業料減免措置の大幅拡充、保育の受け皿整備などを進める構えだ。

 総額で2兆円規模を投じる意向で、消費税増税の増収分以外に約3000億円が必要となる。これについては歳出削減で賄うほか、企業と従業員が支払う「こども保険」なども検討。「年内に政策パッケージを策定する」(安倍首相)考えだ。

 消費税増税の増収分の使途をめぐっては、これまで約4兆円を借金返済に回すことにしていた。使途の変更で借金返済分が1兆円以上減ることになり、財政再建の遅れも懸念される。