【衆院解散】消費税の是非、使途変更が焦点 見えにくい財政健全化の道筋

臨時国会が召集され、衆院本会議で衆院が解散され、万歳する議員と一礼する安倍晋三首相(奥中央)=28日午後、国会(斎藤良雄撮影)
臨時国会が召集され、衆院本会議で衆院が解散され、万歳する議員と一礼する安倍晋三首相(奥中央)=28日午後、国会(斎藤良雄撮影)【拡大】

 衆院選では消費増税の是非や使途が争点となる。安倍晋三首相が増税による税収増分の一部を教育財源に振り分ける方針を打ち出す一方、「希望の党」を立ち上げた小池百合子東京都知事は景気回復まで増税凍結を訴える。少子高齢化に伴う社会保障費の増加などで国の財政状況は悪化しているが、財政健全化の道筋は見えにくくなっている。

 消費税率は平成31年10月に8%から10%に引き上げられる予定。税収増は5兆6千億円の見通しで、1兆円程度を年金など社会保障の充実に使い、残りを借金返済に充てることになっている。

 安倍首相はこの配分を変更し、約2兆円を看板政策「人づくり革命」の柱である幼児教育無償化などに振り向ける。借金返済に回すのは、税収増分の半分に当たる約2兆8千億円にとどめる方向だ。

 また、民進党の前原誠司代表はこれまで、税収増分すべてを教育無償化を含む社会保障の充実に充てるとしてきた。

 一方、小池氏は増税凍結に踏み込んだ。28日の記者会見では「ただの増税は消費を冷え込ませる」と強調し、景気が悪化したときに増税を停止できる「景気条項」の必要性を訴えた。日本維新の会も増税凍結を唱える。

 使途変更や増税凍結で、財政健全化に遅れが出るのは必至だ。

 政府は財政の健全性を示す基礎的財政収支(PB)を32年度に黒字化する目標を掲げていたが、安倍首相は25日のテレビ番組で達成は「不可能」と認めた。ただ黒字化目標自体は堅持し、今後「具体的な計画を策定する」という。

 一方の小池氏は28日の会見で、日本は「借金は多いが資産もある」として財政再建の必要性について明言を避けた。

 37年以降は「団塊の世代」がすべて後期高齢者となる。医療・介護費の急増に伴い、財政はさらに逼迫(ひっぱく)する恐れがある。

 国民の将来不安を解消するためにも、各党は財政健全化の道筋を明確に説明する必要がある。(中村智隆)