玄海原発の再稼働で、地元では雇用や経済の安定に期待が高まる。
小池氏の主張は、こうした地元の思いや議論の積み重ねを「リセット」することになる。
株価急落
「また原発ゼロか…」。九電幹部はため息をついた。
九電は、玄海原発と川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の安全対策に、計約6千億円を投じ、安全性を高め、再稼働の手続きを慎重に進めた。平成27年に川内1、2号機が再稼働し、九州の電力需給は綱渡り状態から脱した。
九電の経営も改善し、設備投資や寄付を通じて、九州の経済に、少しずつお金が回るようになった。
しかし、希望の党が躍進すれば、原発への逆風が再び強まる。
希望の党への民進党合流が決まった28日、九電や関西電力など、電力会社の株価は急降下した。希望の党が、一定の議席を獲得するとの見立てからだ。
小池氏は28日午後、日本記者クラブで記者会見し「2030年までに原発ゼロにもっていく工程を、検討したい」と主張した。
だが、工程を示すことが難しいのは、これまでの経緯が証明している。
平成24年9月、民主党の野田佳彦首相は、支持率回復を狙い、2030年代の原発ゼロシナリオ「革新的エネルギー・環境戦略」を閣議決定しようとした。だが、脱原発によって電気料金が2倍以上になるとの試算もあり、断念した。