【衆院選】自民公約で経済の重点項目は? 消費税増税分を教育財源に、労働力不足も補う

JR赤羽駅前で街頭演説する自民党総裁の安倍首相=2日午後、東京都北区
JR赤羽駅前で街頭演説する自民党総裁の安倍首相=2日午後、東京都北区【拡大】

 自民党が2日発表した衆院選の公約では、経済の重点項目にアベノミクスや人づくり革命、生産性革命を挙げ、少子高齢化を克服し成長を目指す姿勢を改めて鮮明にした。教育財源には消費税を10%に引き上げて増収分を充てる考えで、有権者に是非を問う。

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 自民党は公約に、消費税増税分を幼児教育無償化などの財源に充てると明記した。ただ、社会保障費などの歳出は増えても税収の大幅増は見込めず、借金返済に回す分が減ると財政再建に遅れが出るのは必至だ。

 「社会保障の充実分を拡大し、消費増税の生活への影響を和らげる」。岸田文雄政調会長は2日の記者会見でこう述べ、消費増税の税収増分を教育財源とすることに理解を求めた。

 税収増は約5兆6千億円の見込みで、安倍晋三首相は使途を変えて約1兆7千億円を教育無償化などに回す方針。借金返済には約4兆円を充てる予定だったが、約2兆8千億円に抑える。このため、財政健全化は遅れるのが確実だ。

 政府は平成32年度に財政の健全性を示す基礎的財政収支(PB)を黒字化する目標を掲げるが、使途変更で達成は「不可能」(安倍首相)。公約ではPB目標堅持をうたうが時期は明示しなかった。岸田氏は、「財政にも一定の責任を果たす」と話すにとどめた。

 高齢化で社会保障費が増え、29年度予算の一般会計総額は97兆4547億円と5年連続で過去最大。一方で、28年度の税収総額は55兆4686億円と7年ぶりに前年割れ。国債を発行して穴埋めする状況が続く。

 足元は日銀の大規模金融緩和で低金利環境が続き、国債利払い費は抑えられている。ただ、緩和にも限界があり、金利が上昇して利払い費が増えれば、財政事情はさらに深刻さを増す。

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 教育無償化などの「人づくり革命」と「生産性革命」は、日本経済の「供給力」を抜本的に強化する政策だ。高付加価値を生み出す人材の輩出や企業の創出を促し、少子高齢化による労働力不足を補う。企業の収益力が高まれば、賃上げを通じた消費刺激などで内需拡大も期待でき、自民党は「供給」と「需要」の両面から経済成長を加速させる。

 人づくり革命の柱は、3~5歳の幼児教育・保育の完全無償化や大学など高等教育の負担軽減だ。社会人がITなど最新の技能や知識を改めて身につける「学び直し(リカレント)教育」拡充も盛り込む。

 高等教育も、安倍晋三首相が「貧しい家庭に育っても、意欲さえあれば進学できる社会に変革する」と意気込む。自民党は教育機会の不平等による格差拡大を防ぐと同時に、高い技能を持った人材の裾野を広げて成長力強化につなげる。

 一方、生産性革命は人工知能(AI)など第4次産業革命の最新技術を社会に普及させて、生産効率の向上を狙う。法規制を一時的にストップする新しい規制緩和制度も導入する。

 内閣府によると、現役世代を示す日本の生産年齢人口(15~64歳)は平成28年10月1日時点で7656万人だったが、67年に5028万人まで減る見通しだ。

 経済成長を左右するのは「労働力」「生産性」「資本」の3要素。生産性を飛躍的に高めて労働力不足を補い、中長期的な成長軌道を強化する。(中村智隆、山口暢彦)