中国、進むキャッシュレス社会 モバイル決済1年で5倍、1000兆円に 個人情報「ダダ漏れ」リスクも (1/3ページ)

中国浙江省杭州市の米ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)店舗に導入された「顔認証」による注文と支払いのタッチパネル(河崎真澄撮影)
中国浙江省杭州市の米ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)店舗に導入された「顔認証」による注文と支払いのタッチパネル(河崎真澄撮影)【拡大】

 中国が猛スピードで「キャッシュレス社会」に変貌しつつある。買い物や公共料金など、日常の支払いのほとんどが銀行カードと連動するスマートフォン1台で事足りる上、スマホがなくとも「顔」の認証だけで支払い可能なサービスも登場した。こうしたモバイル決済の総額は1年で5倍も増えた。一方で代金決済を通じ、さまざまな個人情報が金融サービス会社や中国当局に“ダダ漏れ”するリスクも指摘され始めた。(杭州 河崎真澄)

 「タッチパネルで食べ物を注文し、自分の顔をカメラに向け、携帯電話の番号を入力すればOKです」

 モバイル決済の“仕掛け人”ともいえるIT(情報技術)大手アリババ集団の本拠地、浙江省杭州市。金融サービス部門の王安娜さんは、市内の米ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)の店舗を案内し、9月初めに始まったばかりの顔認証による代金決済サービスを実演してみせた。KFCで世界初の試みだ。

 「目と口の位置や形、鼻の高さなど、生体認証技術で判定するため、厚化粧したりカツラをかぶっていたりしても大丈夫。スマホを自宅に忘れてきても、食事できますよ」と笑った。

続きを読む