“経済の体温”世界の物価上がらぬ「謎」 背景に新型経済の台頭 (1/2ページ)

記者会見に臨むFRBのイエレン議長=2017年9月20日、ワシントン(AP)
記者会見に臨むFRBのイエレン議長=2017年9月20日、ワシントン(AP)【拡大】

  • 記者会見に臨むFRBのイエレン議長=2017年9月20日、ワシントン(AP)
  • 記者会見に臨むFRBのイエレン議長=2017年9月20日、ワシントン(AP)

 “経済の体温”と呼ばれる物価が世界的に上がらない。国際決済銀行(BIS)の調べでは、6月時点で物価上昇率が前年同月比1%に満たない国は、日本をはじめ15カ国に達した。特徴的なのは、世界経済が回復し雇用が改善しているにもかかわらず、賃上げと物価上昇につながらないことだ。背景には、ネットで直接仕事を発注する「ギグエコノミー」の台頭など、経済や社会の構造的な変化があるとみられる。(山口暢彦)

 「謎というほかない。何が原因か、はっきり分かっているとはいえない」。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は9月20日の記者会見で、物価低迷に関しこう述べた。

 米国では2009年7月に始まった長期の景気拡大局面が続いている。一方で個人消費支出物価指数の上昇率は8月まで6カ月連続で1%台と低迷し、FRBの目標「2%上昇」に達していない。

 緩やかな景気回復が続く欧州ユーロ圏も消費者物価指数は5月以降、1・3~1・5%で推移し、欧州中央銀行(ECB)が目指す「2%弱」に届かない。12年12月以降、景気拡大が続く日本も直近の消費者物価指数は0%台で低迷し、日銀の「2%」目標は遠い。

 物価の低迷理由として指摘されるのは「原油安」「新興国からの安価な製品の流入」「販売コストがかからない電子商取引(EC)の拡大」などだ。

 専門家が注目するのは、世界経済が16年夏ごろから回復し失業率が低下しているにもかかわらず、賃上げして人を雇う機運が盛り上がらず、結果として消費拡大による物価上昇につながっていないことだ。

 米国の賃上げ率は、毎月発表される雇用統計で前年同月比2%台と緩やかな上昇にとどまっている。日本は今年の春闘での賃上げ率が連合の集計で1・98%と4年ぶりに2%を下回った。企業収益のうち労働者の取り分を示す労働分配率も日米欧で低下している。