“男余り”中国婚活サイトの甘い罠 女性に追い込まれたIT起業家の自殺が波紋 (2/2ページ)

 蘇氏と元妻は今年3月に婚活サイトで知り合い、6月7日に結婚した。蘇氏は妻に海南のマンションや電気自動車を買い与えるなどしたが、1カ月余り後の7月18日には離婚が成立した。

 蘇氏は、結婚後に元妻の態度が豹変したと主張。また蘇氏は初婚だったが、元妻は過去に短期間の結婚歴がありながら婚活サイトも元妻もその情報を蘇氏に知らせていなかったという。

 新京報によると、中国では婚活サイトを舞台にした結婚詐欺事件がたびたび発生。2011年には北京の男が婚活サイトで香港籍と偽り、6人の女性から600万元近くをだまし取る事件が起きた。またマルチ商法グループが婚活サイトを悪用するケースもあり、重慶の警察当局は今年、約300人の被害者を出した詐欺事件に関与した犯行グループ70人を検挙した。

 中国では1970年代末に始まった人口抑制策「一人っ子政策」の結果、女児より男児を望む傾向が強まり、今後30年間で結婚適齢期を迎える男性の数は女性を少なくとも3000万人上回るとされる。こうした“男余り”の状況で、適齢期世代の結婚問題は社会の安定を揺るがしかねない。

 今回クローズアップされた婚活サイトの問題を受けて、中国政府の民政省は18日、青年の婚姻関連政策に関する「指導意見」を公表。“婚活市場”の規範化を求め、結婚紹介所における実名登録制を徹底し、結婚詐欺などの違法行為に厳しい打撃を加えると強調している。ただ専門家の間からは、婚活サイトが会員情報の真実性を審査するのは現実的ではないとの声も上がり、問題解決は容易ではなさそうだ。