G20財務相・中銀総裁会議 PB目標先送り表明 日本の財政揺らぐ信頼性 (1/2ページ)

20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の記念撮影に臨む黒田東彦・日本銀行総裁=12日、ワシントン(ロイター)
20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の記念撮影に臨む黒田東彦・日本銀行総裁=12日、ワシントン(ロイター)【拡大】

 米ワシントンでのG20会合で、日本が新たな借金に頼らず政策経費をどれだけ賄えるかを示す基礎的財政収支(PB)の黒字化目標の先送りを表明した。事実上の国際公約の撤回といえ、日本の財政に対する信認の低下を招く恐れもある。今後、財政不安から金利が上昇すれば、財政事情はさらに厳しさを増す。

 安倍晋三政権が目標を先送りしたのは、衆院選に向けて消費税率の8%から10%への引き上げに伴う税収増分(約5兆6千億円)の使途変更を決めたことがきっかけだ。安倍政権は幼児教育無償化などの財源を捻出するため、税収増分のうち借金返済に充てる分を4兆円程度から約2兆8千億円に抑制する方針。首相自身が32年度のPB黒字化目標の達成は「不可能だ」と認めている。

 一方、今回のG20会合では、黒田東彦日銀総裁が「財政再建の旗は降ろしていない」と訴え、目標の先送りに理解を求めた。しかし安倍政権はこれまで国際会議の場で32年度のPB黒字化目標を繰り返し説明し、財政健全化を目指す姿勢をアピールしてきただけに、事実上の国際公約を撤回した形になった。

 PBは、社会保障費などの政策経費と税収の差額を指す。赤字は収入より支出が多く、借金が増えていく状態だ。国と地方の借金が1千兆円を超える中、一刻も早く黒字化し、借金の膨張を防ぐ必要がある。

 財務相の諮問機関である財政制度等審議会はPB黒字化目標の実現が「将来世代に対する最低限の責務」と指摘する。しかし、この責務が目標先送りで揺らいでしまえば日本の財政の信頼性が損なわれかねない。