日本は資源のない国ではない証明 世界初の海底鉱物引き上げ、商業化の行方は… (2/3ページ)

海底熱水鉱床から引き上げられた鉱石。亜鉛や鉛などが含まれている(経済産業省提供)
海底熱水鉱床から引き上げられた鉱石。亜鉛や鉛などが含まれている(経済産業省提供)【拡大】

  • 水深約1600メートルの海底熱水鉱床の鉱石を採掘するために海中に投入される掘削機(経済産業省提供)

 商業化には、ポンプの大型化や掘削機の低価格化など技術革新に取り組まなければならないが、日本は他国より技術的に優位だ。

 経産省はEEZの他海域での資源量などを調査し、30年度に商業化できるかどうか判断する。

 海底熱水鉱床は沖縄県近海のほか、小笠原諸島近海など8カ所で確認されている。沖縄本島から北西に約110キロの海底にある伊是名海穴(いぜなかいけつ)の資源量は740万トンで、国内の年間消費量と同等の亜鉛が埋蔵されているとみられている。

 また、日本のEEZは世界6位の広さで、海底熱水鉱床だけでなく、より深海には、コバルトやニッケル、白金などレアメタルを多く含んだ岩石の集まり「コバルトリッチクラスト」、レアメタルが含まれる球状の岩石「マンガン団塊」など有力な海底資源が存在するといわれている。

 これらには、高性能モーター用磁石の原料となるレアアース(希土類)なども含まれているとされる。本州から約1800キロ離れた日本最東端の南鳥島周辺からはレアアースを含む泥(レアアース泥)も発見されている。

 世耕弘成経済産業相は記者会見で「日本近海では、国内の年間消費量を上回る鉱物の存在が見込まれている。今回の成功を踏まえて国産資源の開発を進め、わが国の鉱物資源の安定供給体制のさらなる強化を主導したい」と述べた。

 ただ、これらの海底資源の開発を成功させるにはいくつもの壁が立ちはだかる。

国産資源を持てば、中国の資源外交も怖くない?