【専欄】ホットワードは「書記」 ノンフィクション作家・青樹明子 (1/2ページ)

 5年に1度の共産党大会が開幕し、政治の季節を迎えた中国では、この半年「書記」というワードがホットである。実在の大物書記たちをしのぎ、若者たちを中心に、高い人気を誇っているのは「達康書記」だ。

 それは誰か。李達康という、本年度3月末から放送されたテレビドラマ「人民的名義」の登場人物である。反腐敗をテーマにした政治劇で、日本なら50%超えとなる高視聴率で「21世紀ドラマ王」の地位を獲得した。

 社会現象化したこのドラマで、達康書記は主要人物ではあるが、主役ではない。年齢も50代頭くらい、仕事以外に興味はなく、あまりの融通のきかなさに、妻のほうから、三下り半を突き付けられた。

 これまで中国で英雄視される人物は、完全無欠の超スーパースターだった。欠点も多い達康書記が何故(なぜ)愛されたのだろう。

 それはひとえに「ぶれない信念」と「越えてはならない一線」を堅持している人物だからに他ならない。不法に蓄財することもなく、女性関係も無縁、収賄に手を染めることもない。妻がどんなに頼んでも、地位を利用して便宜を図ることも絶対にしない。彼にとって最も大切なのは、庶民の目線で物事を考えることである。

「お嫁に行きたい」という女性も