中国「個人消費」が景気牽引 成長寄与度65%、債務膨張に懸念 (1/2ページ)

 中国共産党機関紙、人民日報傘下の環球時報は、20日付で掲載した「中国経済は好ましい形勢に向かっている」とする「社評」の中で、個人消費の伸びが景気の安定的な拡大を牽引(けんいん)したと分析した。2017年7~9月期の国内総生産(GDP)実質成長率は前年同期比6.8%と、4~6月期に比べ0.1ポイント減速したが、成長寄与度で「消費」が64.5%と過去最高になったと説明している。GDP成長率は1~9月期を通じてみると前年同期比6.9%を維持した。

 高度成長時代の中国は「投資」「輸出」がベースだった。今後は「消費」中心の先進国に近い成長モデルに移行する可能性もある。だが、高度成長時代の“副作用”である債務が膨張を続けており、不良債権化すれば「金融システムリスク」を引き起こしかねない情勢。中国経済の先行きはなお不透明だ。

 個人消費拡大の背景に、「ネット経済」を挙げた。スマートフォンのアプリを使ったタクシー予約やシェア自転車、買い物のスマホ決済などが急速に普及し、社会消費全体の7分の1に達したという。さらに、医療や養老保険の拡充を背景に、これまで消費に消極的だった年配の消費者が、国内外の旅行でタンス預金を使うようになった。

 丸紅中国法人の鈴木貴元・経済調査チーム長は、「新車購入など従来の“モノ消費”と合わせて旅行や映画鑑賞など“コト消費”が急拡大し、個人消費が景気拡大を牽引する要因になってきた」と話す。輸出も9月まで7カ月連続で前年同月を上回り、鈍化が続いた中国経済も自律的な回復の兆しをみせる。