【専欄】習近平の「政治報告」を読む 元滋賀県立大学教授・荒井利明 (1/2ページ)

 中国共産党の第19回大会は今日24日に閉幕する予定である。大会初日に習近平が3時間20分かけて読み上げた「政治報告」は約3万2000字とかなり長いものだったが、報告内容を読み解くカギは「新」と「強」の2字である。

 報告が強調するのは「新時代」である。「新時代」という表現は、報告に35回登場する。習近平が主張したことは、平たくいえば、「中国はもはや江沢民・胡錦濤時代のようなポストトウ小平時代ではなく、新しい時代である。だから、党と国と国民を導く新理念、新思想、新戦略が必要だ」ということである。

 習近平が掲げた新時代の目標は、今世紀半ばに「富強、民主、文明、和諧(調和のとれた)、美麗な社会主義現代化強国」を打ち立てるということで、それは「中国の夢」の実現でもある。従来は「富強、民主、文明、和諧の社会主義現代化国家」の実現を目指すとされていた。変わったのは、「美麗」のほかに、「強」の字がもう一つ増えたことである。

 単なる「国家」、あるいは「大国」ではなく、目指すのは「強国」である。報告には「製造強国」「科学技術強国」「貿易強国」「文化強国」「教育強国」など、「強国」は19回登場する。

 大国と強国では何が違うのか。大国は量的に大きいことでしかないが、強国は量に質が伴うということだろう。例えば、中国は今、国内総生産(GDP)では米国に次ぐ。だが、国民1人当たりのGDPは、まだ1万ドルに届かない。これでは経済大国とはいえても、経済強国とはいえないだろう。

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