不正の商工中金、世耕弘成経産相は完全民営化も視野

商工中金の不正融資問題について取材に応じる世耕経産相=25日午後、経産省
商工中金の不正融資問題について取材に応じる世耕経産相=25日午後、経産省【拡大】

 国の制度を悪用した不正融資が発覚した商工中金に関して、経済産業省は11月に同社のガバナンス(企業統治)改革などを検討する有識者会議を開く。最大の焦点は先延ばしされてきた完全民営化で、世耕弘成経産相も抜本的な経営改革を視野に入れる。ほぼ全店で不正が蔓延(まんえん)し、実態を隠蔽(いんぺい)しようとした商工中金の立て直しでは“解体的出直し”への覚悟が問われている。

 世耕経産相は27日の閣議後記者会見で、完全民営化について「(有識者会議での議論の結果として)出てくれば受け止めて対応したい」と否定しなかった。

 会議では再発防止策や社外取締役の増員など経営の透明性を高める案を検討。不正の温床となった「危機対応融資」制度も見直し、年内に結論を公表する。

 もともと商工中金を含めた政府系金融機関は資金力の乏しい民間銀行を補完し、中小企業などに融資するために設立された。一方、民業圧迫との声も根強く、商工中金は平成20年から段階的に民営化されるはずだった。

 しかし同年のリーマン・ショックで民間の金融機関で貸し渋りが横行すると、商工中金が危機対応融資で中小企業を支え、民営化は先送り。一方、経営陣は危機対応融資を維持すれば民営化を回避できると考え、不正をいとわない姿勢が広がった。政府系金融機関の地位に固執した結果、全100店舗中97店舗の444人が不正に関与するという異常事態を引き起こした。

 元経産事務次官の安達健祐社長は辞意を表明しており、世耕経産相は後任に民間出身者を充てる考え。「リーマン・ショックではトヨタ自動車ですら商工中金頼みだった」(経産省幹部)と、民営化には慎重論も根強いが、一時的なトップ人事にとどまらない改革案が示されるかが注目される。