サムスン、ヒュンダイ、ロッテ… 韓国を牛耳る“10大財閥”は日本が育てた (4/4ページ)

日本の巨額の経済支援をテコに、「漢江の奇跡」と呼ばれる経済成長を韓国にもたらした朴正煕(写真=AFLO)
日本の巨額の経済支援をテコに、「漢江の奇跡」と呼ばれる経済成長を韓国にもたらした朴正煕(写真=AFLO)【拡大】

 軍事政権の負の遺産

 朴正煕が築き上げた財界との癒着構造は、その後の軍事政権にも一貫して受け継がれていきました。朴正煕の後継者の全斗煥大統領は財閥に、自らの私的な財団である「日海(イルヘ)財団」への献金を求めました。進んで多額の献金をした財閥は多くの特権を与えられ、献金を渋った財閥は制裁を加えられました。

 全斗煥は自らの意向に従わなかった「国際グループ」を解体しています。「国際グループ」は釜山に本拠を置く企業でした。この企業は1985年の国会議員選挙で、与党を支援せず、与党候補者が釜山地域で金泳三派に大敗します。全斗煥は怒り、選挙後すぐに「国際グループ」への融資を銀行にストップさせて、これを解体させました。

 「10大財閥」が韓国経済の大半を担う現在の状況は、「漢江の奇跡」以来の軍事政権が残した負の遺産とも言えます。朴槿恵元大統領を辞任に追い込んだ「崔順実(チェ・スンシル)事件」では、崔氏が財閥の資金を政権に渡す窓口になっていたと報道されています。

 冒頭に挙げた過酷な受験競争もさることながら、韓国の政治・経済の健全な発展のために、財閥が抱える前時代的な組織体制とそれを取り巻く社会制度の旧弊を抜本的に見直す時期が今、やって来ているように思います。

 宇山卓栄(うやま・たくえい)

 著作家。1975年、大阪生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。おもな著書に、『世界一おもしろい世界史の授業』(KADOKAWA)、『経済を読み解くための宗教史』(KADOKAWA)、『世界史は99%、経済でつくられる』(育鵬社)、『“しくじり”から学ぶ世界史』 (三笠書房) などがある。

 (著作家 宇山 卓栄 写真=AFLO)(PRESIDENT Online)