□産経新聞論説副委員長・榊原智
北朝鮮危機を国難であるととらえ、その乗り切りのため国民の後押しを得たいと願った安倍晋三首相と与党が、衆院選で313議席を得て勝利した。
一方、北朝鮮危機には鈍感な立憲民主党も衆院選で「勝利」したと言われる。ただし、獲得議席は55だ。
選挙はどの政党も同じルールで戦う。その結果の差を見れば、今回の衆院選には、国民が、北朝鮮危機の乗り切りを安倍政権に託したという意味合いを読み取れるのではないか。
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そこで、安倍政権はもとより、日本全体が、真っ先に覚悟と準備を固めておいたほうがよい課題を指摘したい。
それは、韓国にいる外国人(日本人を含む)を日本へ避難させる大規模な「非戦闘員退避活動(作戦)」(NEO。Non-combatant Evacuation Operation)の発動だ。
麻生太郎副総理兼財務相の発言で武装難民の襲来への対処が話題になった。重要な問題提起だが、本稿で指摘するNEOは、武装難民より前に日本を見舞うかもしれない試練といえる。
NEOの対象は、韓国に滞在する米国と、日本など米国の友好国の文民になるだろう。朝鮮半島有事の発生を想定するなら、軍人でもない外国人が韓国にとどまることは望ましくない。彼らの安全の確保は重要である。