【高論卓説】増える高齢ドライバー事故 免許証、納得できる自主返納に知恵 (1/2ページ)

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 2015年の世界保健機関(WHO)の国別統計によると日本人の平均寿命は83.7歳で世界首位となっており、20年以上首位の座を維持している。既に日本は世界一の高齢化進展国でもあり、総務省の「人口推計」によると65歳以上の高齢者人口は16年に3459万人で、総人口に占める割合(高齢化率)が27.3%、およそ4人に1人が高齢者でもある。さらに団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる25年には、高齢化率は30.0%(うち75歳以上が17.8%)に達する見込みだ。

 高齢者が増えるに従って、各種問題も発生している。高齢者による交通事故もその一つだ。警察庁によると運転免許保有者数の21.5%を高齢者が占めている。また運転者が後期高齢者の死亡事故件数は、75歳未満と比較して、免許人口10万人当たりの件数が2倍以上多く発生している。75歳以上の人口1691万人のうち免許証の保有者は513万人で3人に1人が免許を保有し、保有者全体の6.2%を構成する。01年には154万人と2.0%に過ぎなかったが、高齢化にともないその比率は高まっている。

 リスクの高い高齢運転者対策として今年3月に改正道路交通法が施行された。主な改正内容は、75歳以上の高齢ドライバーに対し3年に1度の免許証更新時、もしくは認知機能が低下したときに起こしやすい信号無視や通行区分違反など一定の違反行為を行った時に、認知機能検査を受けなければならないと規定したことだ。認知症の恐れがあると判断された場合、医師の診断を受けなければならず、医師に認知症と診断され6カ月以内に回復の見込みがない場合には、免許取り消しとなる。

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