トランプ氏「貿易不均衡是正を」 日米FTAには言及せず 日本はTPP11合意に全力 (1/2ページ)

安倍晋三首相(右)との会談を前に栄誉礼を受けるトランプ米大統領=6日午前、東京・元赤坂の迎賓館(松本健吾撮影)
安倍晋三首相(右)との会談を前に栄誉礼を受けるトランプ米大統領=6日午前、東京・元赤坂の迎賓館(松本健吾撮影)【拡大】

 6日の日米首脳会談で、米国側から経済分野の最大の懸案とみられていた日米自由貿易協定(FTA)への言及はなかった。直接的な圧力が回避されたことで、日本は8日に開幕する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加11カ国の交渉における大筋合意に全力を尽くす。

 トランプ大統領は共同会見に先立ち、日米企業トップらに都内で演説し、対日赤字は「年間700億ドル(約8兆円)に達している」と指摘するなど、赤字削減に意欲を示した。

 今回の訪日では、事前に公表されていなかった対日強硬派の米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表が同行。ライトハイザー氏は、訪日前の3日夜の米テレビに出演した際、日本などの貿易赤字に対して「深刻な懸念を抱いている」とくぎを刺しており、日米FTAについて言及するとの見方があった。

 ただ、米国は優先課題とする北米自由貿易協定(NAFTA)の協議が遅れ、妥結は年越しが確実な状況だ。会見で、トランプ氏は「平等で信頼できるアクセスが米国の輸出品に対して必要だ」と述べるにとどめた。米中間選挙が1年後に迫る中、NAFTAや、再交渉で事実上合意した米韓FTAを優先し、日米FTAは先送りしたとみられる。

 一方、日本はTPP11カ国の交渉を早期に取りまとめ、離脱した米国の復帰を促す戦略を描く。多国間の枠組みで先にルールを固め、米国の圧力を和らげる狙いだ。安倍首相は会見で、「トランプ氏と2国間貿易のみならず、アジア・太平洋地域に広がる貿易・投資の高い基準作りを主導する」と呼びかけた。

TPPにおける各国の立ち位置、依然距離が残る