日銀の金融政策決定会合、追加緩和の可能性低い? 「現状維持が適切」など慎重論相次ぐ

10月31日、金融政策決定会合後に会見する日銀の黒田総裁(右)=日銀本店
10月31日、金融政策決定会合後に会見する日銀の黒田総裁(右)=日銀本店【拡大】

 日銀は9日、10月30、31日に開催した金融政策決定会合での「主な意見」を公表した。現在の金融政策を変更することへの慎重論が相次いでおり、唯一反対した片岡剛士審議委員の発言が引き金になったとみられる。市場関係者の間では、日銀が追加緩和を行う可能性の低さを示す材料として受け止められている。

 今年7月に就任した片岡委員は初めて出席した9月の決定会合で、短期金利をマイナス0.1%、長期金利を0%程度に誘導する枠組みを維持する議長案に反対票を投じて注目を集めた。10月の会合でも反対票を投じ、「10年物国債金利に代えて、15年物国債金利が0.2%未満で推移するよう長期国債の買い入れを行う追加緩和策を講じるべきだ」などと主張していたことが明らかになった。

 こうした意見に委員の1人は「政策変更の効果に確信が持てない限り、現状維持が適切」と主張。他にも「目標達成を急ぐあまり極端な政策をとると、金融仲介機能の低下といった副作用が生じる」、「追加緩和に関しては市場や金融機関への影響、政策の持続性などの観点から、プラス効果より副作用の方が大きい」など慎重な意見があった。