【高論卓説】賭けに出たサウジ皇太子 改革推進か、異例の保守派大量拘束 (1/2ページ)

 わが国が輸入する石油のほぼ3分の1を依存するサウジアラビアで4日、王子や現職、元閣僚など約50人の高官が拘束される事件が発生し世界に衝撃を与えた。拘束を命じたのは同日、サルマン国王の勅令で発足した子息のムハンマド皇太子(32)が委員長を務める「反汚職最高委員会」であった。国王は同委員会の設立に際して汚職の摘発に関するあらゆる権限を持つことを言明した。

 職務は違反・犯罪、贈収賄に関与する個人・組織を識別し確認すること。このため委員会には、捜査権や逮捕状・旅行禁止の発出、財務公開の命令、銀行口座および保有有価証券の凍結、資金・資産の追跡調査、個人・組織の送金・資金移転の防止などの権限が付与された。

 さらに、贈収賄に関係する個人・組織への対応に必要ないかなる措置も実施できるほか、個人・組織の国内外の資金および固定・変動資産の取得、資金の国庫返納、所有物・資産の国有資産登録を行う権限を持つ。

 捜査段階にあることもあり拘束者の氏名は発表されていない。しかし、報道によれば、国際的にも名前を知られたビジネスマンで投資家のワリード・ビンタラール王子(62)や国営石油企業サウジアラムコの取締役会に名を連ねるイブラヒム・アッサーフ元財務相、経済改革の中心的役割を果たしてきたファキーフ経済企画相、アブドラ前国王の息子で有力者のムトイブ国家警備相なども含まれる。

 ワリード王子の祖父は、現在のサウジを建国したアブドルアジズ初代国王である。米国の有名な投資家になぞらえて「アラブのウォーレン・バフェット」と呼ばれる王子は、フォーブス誌によれば2017年3月時点の純資産額が187億ドル(約2兆1300億円)に達する世界的な大富豪である。サウジ人女性の社会進出を早くから訴えるなど改革に前向きで、反対する保守派に配慮する姿勢も長年の経験から持っていた。

皇太子が進める野心的改革、保守派が抵抗