「出国税」改め「観光振興税」に 政府調整、1人当たり1000円以内

お盆休みの出国ラッシュで混雑する関空の出発ロビー=8月10日、関西国際空港(志儀駒貴撮影)
お盆休みの出国ラッシュで混雑する関空の出発ロビー=8月10日、関西国際空港(志儀駒貴撮影)【拡大】

 政府が、観光政策の財源を捻出するため、来年度税制改正で創設を検討している、出国時に徴収する新税について、名称を「観光振興税」とする方向で調整していることが9日、分かった。これまでは、便宜的に「出国税」という名称が使われてきたが、観光目的の税金であることを明確にする。航空運賃などに上乗せする税の徴収額は、観光庁の有識者会議が9日、1人当たり「1000円を超えない範囲」とする提言をとりまとめた。

 観光庁の有識者会議が同日、田村明比古長官に手渡した提言では、税の導入時期について、「可能な限り速やか」と明記。東京五輪・パラリンピック前の2019年度までの導入を目指す。

 昨年1年間の訪日客と日本人の出国者は計約4000万人。1人当たり1000円の出国税を徴収すれば観光庁予算(17年度は210億円)の倍近い約400億円が確保できる計算だ。

 税収の使い道は、欧州や米国など海外での観光PRのほか、最先端技術を活用した出入国管理の保安強化や手続きの迅速化、バーチャルリアリティー(仮想現実)技術を導入した観光案内や標識の多言語対応に充てる方針だ。

 自民党税制調査会の宮沢洋一会長は、観光振興の新税について、7日の非公式会合後、記者団に「国土交通省で検討されており、(税調に)きたときに検討する」と明言。自民党税調が、22日から本格化させる来年度税制改正の議論で詳細を詰め、12月14日に決定する18年度与党税制改正大綱への盛り込みを目指す。