上半期経常黒字11.5兆円 リーマン後最大、世界経済の回復背景

 財務省が9日発表した2017年度上半期(4~9月)の国際収支速報によると海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支の黒字額は前年同期比11.7%増の11兆5339億円だった。半期としては、07年度下半期(11兆8560億円)以来、9年半ぶりの高水準となる。黒字額はリーマン・ショック後では最大。

 世界経済の回復基調を背景に、企業が海外子会社から受け取る配当金が増えたことが寄与した。

 海外投資から得られる利子や配当を示す第1次所得収支の黒字額は12.4%増の10兆3823億円。半期ベースで過去2番目の水準だった。企業の海外子会社からの配当金が増加したほか、債券利子の受け取りも増え、黒字幅が拡大した。

 旅行者のお金の出入りを示す旅行収支の黒字額は8429億円。訪日外国人が増加し、黒字額は半期ベースで過去最大となった。

 一方、輸出から輸入を差し引いた貿易収支の黒字額は、9.3%減の2兆6869億円だった。自動車などの輸出は堅調だったものの、原油価格の上昇で輸入が大きく増えたことが黒字幅の縮小につながった。

 同時に発表した9月の経常収支の黒字幅は、前年同月比21.8%増の2兆2712億円。海外からの配当が増えたことが貢献した。