【APEC】米中の狭間で…東南アジア諸国が苦慮 (1/2ページ)

 【シンガポール=吉村英輝】「法の支配」に訴えて国際社会の支援を得たい東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟の当事国。経済の“アメとムチ”を振りかざし、大国に有利な二国間交渉を進めたい中国。南シナ海の領有権問題をめぐる綱引きは、中国に勝訴した国際的な仲裁裁定の棚上げにフィリピンが応じたことで、中国有利の状況が強まっている。

 中国の習近平国家主席は、APEC首脳会議出席に先立つ9日、ベトナム紙で、南シナ海問題で「両者が受け入れられる友好的な対話」を訴えた。議長国であるベトナムに、日本や米国なども参加する会議で批判が自身に向かないよう、クギを刺した形だ。

 ASEAN側には、南シナ海の秩序を維持してきた米国の存在感低下へ、危機感が強い。中国が同海に人工島を造成して軍事拠点化を進めた。だが、オバマ米前政権は、人工島付近に艦船を航行させる「航行の自由」作戦は打ち出したものの腰が引け、「アジア回帰」政策はかけ声倒れに終わった、との評価が多い。

 トランプ米大統領は、米政権が従来、東南アジア諸国に圧力をかけた「人権問題」などで踏み込んでいない。一方、ベトナムやマレーシア、タイ、インドネシアの対米黒字が問題視されるなど、対米姿勢の路線転換を迫られている。