米のプレゼンス維持見極め 東南ア各国、安保バランス一変を警戒

 東南アジアの各国は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議をはじめとする一連の国際会議に出席するためベトナムとフィリピンを訪問するトランプ米大統領を歓迎する。一方で、その裏には、トランプ政権として米国が東南アジア地域でのプレゼンスを維持するかどうかをめぐる深い懸念が隠されている。世界の2大経済大国よりもかなり規模の小さい東南アジア諸国は長年、北京との経済関係を深めながらも、中国の拡大政策に対する緩衝役を米政府に頼ってきたためだ。

 同時に域内首脳は、東南アジアの指針となり朝鮮半島情勢の落ち着きをもたらす微妙な安全保障上のバランスを、トランプ氏が一変させかねないとの懸念を表明している。東南アジア諸国は一党支配の国や共産主義、民主主義の政治体制をとる国など多岐にわたる半面、経済成長を促進するために安定という共通目標によって団結している。

 インドネシアのジョコ大統領は最近のインタビューで、「政治的安定と安全保障上の安定は東南アジア諸国連合(ASEAN)にとって極めて重要だ」と述べ、「成長を高める必要があるからで、地域の安定がなければ成長を促進することは困難だ」と語っている。

 トランプ米大統領がベトナムやシンガポール、マレーシア、ブルネイなども参加する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)からの離脱を決めたことは東南アジアの首脳にとって痛手だった。それだけに域内首脳は、毎年1000億ドル(約11兆3400億円)を超える米国の輸出品を消費し、毎年や隔年で米軍の軍事演習が行われる東南アジア地域に、米政府が引き続きコミットする具体的な言質を求めるとみられる。(ブルームバーグ Jason Koutsoukis)

今、あなたにオススメ
Recommended by