新税「観光促進税」に 出国時に千円徴収、27年ぶり新税 自民党が決議

海外旅行客の出国ラッシュで混雑する出発ロビー=成田空港
海外旅行客の出国ラッシュで混雑する出発ロビー=成田空港【拡大】

 自民党は16日、党本部で開いた観光立国調査会で、観光振興の財源確保のために導入を目指している新税の名称について「観光促進税」とすることを決めた。これまでは暫定的に「出国税」という名称を使い、観光振興税とする案もあったが、観光を促す目的の税であることを打ち出す。訪日客や日本人が日本を出国する際に徴収する税額は1人1回当たり千円とすることも決議。恒久的に徴収する国税としては、平成4年の「地価税」以来27年ぶりの新税となる。

 観光振興のための新税については、観光庁の有識者会議が今月9日に導入を提言していたが、名称については明記していなかった。

 自民党の決議では、新税の導入時期について「可能な限り早期」と明記。東京五輪・パラリンピック前の平成31年度までの導入を目指す。新税導入の狙いについては、自民党が掲げる32年の訪日外国人旅行者4000万人の目標達成に向け「高次元での観光施策の実行が喫緊の課題」とした。

 具体的な制度は、22日から本格化する与党の税制調査会で議論して、12月14日にまとめる30年度税制改正大綱に盛り込む。

 昨年1年間の訪日客と日本人の出国者は計約4千万人。1人当たり千円の税金を徴収すれば観光庁予算(29年度で210億円)の2倍近い約400億円が確保できる。税収の使い途については、欧州や米国など海外での観光PRのほか、観光案内や標識の多言語対応などに充てる方針だ。