サイバー防御 税制支援 設備投資と同時実施で法人減税

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 政府・与党は27日、新たにサイバーセキュリティー対策と生産性向上の設備投資を併せて実施する企業に対し、法人税を減税する措置を設ける方向で調整に入った。人工知能(AI)やロボットなどをインターネットでつなげる生産性の向上は、情報漏洩(ろうえい)やサイバー攻撃のリスクを伴う。個人情報の流出などが相次ぐ中、税制面でサイバー攻撃への対策を促すことで、生産設備の安定運用を図る。

 安倍晋三政権の看板施策「生産性革命」を税制面から後押しする。内容の詳細は今後詰め、12月14日にまとめる2018年度の税制大綱に盛り込みたい考え。

 企業は業種ごとの所管省庁の大臣に対し、業務改善内容や目標達成指標に加え、AIやロボット、セキュリティー対策に関連する機器などの具体的な投資内容を記載した事業計画書を提出。十分なサイバーセキュリティー対策効果と一定の生産性向上が見込まれると判断されれば大臣が事業計画書を認定する。

 認定されれば、設備投資総額の一部が法人税から控除される。控除額は設備投資総額の5~10%になるとみられる。

 情報処理推進機構(IPA)の調査によると、サイバーセキュリティーの人材充足度が十分と答えた企業数は日本が25.2%で、米国(54.3%)や欧州(61.9%)の半分以下にとどまる。20年の東京五輪・パラリンピックを控え、インフラや個人情報などを狙うサイバー攻撃の脅威は高まっており、企業のセキュリティー対策は喫緊の課題となっている。