日銀の片岡剛士審議委員は27日までにフジサンケイビジネスアイのインタビューに応じ、2%の物価上昇目標の達成時期について、現行の見通しの「2019年度ごろ」から1年前倒しし、18年度の到達を目指すべきだとの考えを示した。理由として、片岡氏は消費税増税や米国の景気後退のショックに備え、「19年度には2%を超えた状況を目指した方がいい」と説明した。目標達成には、追加緩和が欠かせないとの考えも強調した。
片岡氏は7月に審議委員に就任し、9月と10月の金融政策決定会合では、現行の金融緩和策の継続について、9人の政策委員の中で唯一反対した。委員就任後、インタビューに応じるのは初めて。
日銀は2%の物価上昇目標を掲げ、13年4月から国債を大量に買い入れる「異次元の金融緩和」を開始。昨年2月にマイナス金利政策導入に続き、9月には長短金利操作を開始し、“デフレ退治”は長期戦に移行した。2%の達成時期は6度先送りした。
先行きについて、片岡氏は「私自身、心配しているのは、物価安定目標が未達のまま、現在の金融政策が長期化することで生じるリスクだ」と語った。特に、19年度には、消費税増税が予定され「人々の物価観が増税前後で変わってしまう可能性がある」(片岡氏)。こうしたことから、片岡氏は「2%にタッチする時期を18年度ごろに置いて、19年度までには2%を超えている状況を目指した方がいい」と主張した。