独企業「中国から撤退も」 経済団体が共産党に警告 対中進出企業への介入強化で

 【上海=河崎真澄】中国共産党が対中進出している外資の民間企業にも党組織を社内に設置させ、党の意向を経営に反映させるよう求めている問題で、在中国ドイツ商工会議所が、「中国市場からの撤退や戦略転換を図る企業が出る恐れがある」などと警告を行ったことが29日、分かった。

 同商工会が公表した声明では、「政党を含む第三者からの干渉を受けない経営がイノベーションや成長の強固な基礎だ」と反論。外資企業の経営判断に事実上の介入を狙う共産党の方針を強く牽制した。商工会レベルで「撤退」まで示唆しながら抗議の意を示したのは、初めてとみられる。

 ドイツ系の企業は中国市場に約5千社が進出しており、約110万人の雇用を創出している。新車販売ではドイツブランドが日本車を抑えて中国市場のトップシェアを誇る。

 10月に北京で行われた共産党大会の政治報告で、習近平総書記(国家主席)は外資を含む民間企業への党組織設置を要求し、「大衆動員の強固なとりで」を築くと述べた。日本企業の間でも警戒感が高まっているが、日中経済協会、経団連と日本商工会議所による11月の合同訪中団では、目立った反論はでなかった。

 共産党はすでに、約3200社の主要な国有企業で年内に党内組織を作らせる意向で、経営の事実上の主導権を党が握る態勢を構築する準備を進めている。株主総会などを経て経営規定である定款に盛り込むよう義務づけた。中央直轄102社は採用ずみという。