大麻産地の山火事被害、再建費用は自腹

グリーンラッシュの行方は…(AP)
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 米カリフォルニア州北部では、10月に発生した山火事で被害を受けた事業の復旧に何年もかかるとみられているが、合法大麻の生産者らにとっては、状況はさらに厳しそうだ。

 カリフォルニア州生産者協会のヘゼキア・アレン氏によると、少なくとも6カ所の大麻農園が壊滅的な被害を受けた。避難していた人々が帰還を許され被害を報告できるようになれば、この数はさらに増えるもよう。

 大麻の生産者らは、他の農家にとって重要な命綱である農作物保険を利用することができない。銀行は連邦法で違法とされている大麻ビジネスを敬遠するため、融資を受けることもほぼ不可能だ。連邦政府の救援基金についても、大麻生産者は対象外となる。つまり、再建費用は全て自己負担となる。「大麻の合法化に託した仲間たちの夢は灰と化した。あるいは、煙に覆われて今は見えない」とアレン氏は語る。

 21カ所で発生した大規模火災で約770平方キロメートルが焼失したことを受け、同州のブラウン知事は10月13日、8つの郡に非常事態宣言を発令。少なくとも23人が死亡し、2万人以上が避難を余儀なくされた。倒壊した建物の数は3500棟を超える。甚大な被害を受けたメンドシーノ郡は、ハンボルト郡やトリニティ郡とともに「エメラルド・トライアングル」と呼ばれる全米最大の大麻生産地だ。

 カリフォルニア州では1996年に医療用大麻が合法化され、娯楽用についても昨年11月、使用を認める法案が承認された。大麻ビジネス投資・調査会社のアークビュー・グループは、大麻の売り上げが昨年の18億ドル(約2018億円)から2021年には58億ドルに増加すると予測。急成長を見込んだ大麻産業の動きを、ゴールドラッシュになぞらえ「グリーンラッシュ」と呼ぶ人もいる。

 だが、参入費用は安くない。生産するには認可を受け、ライセンス料を支払う必要があるが、他の農家と同様に天候リスクにさらされるにもかかわらず、銀行融資サービスの利用は困難だ。

 火災を逃れた大麻も安泰とはいえない。ワインと同じく煙によって味が変わり、価格が大きく下がる恐れがあるからだ。連邦法下で違法とされる大麻の生産者は、政府の農作物保険を利用することもできない。

 大麻に特化した保険会社も現れ始めているが、そうした保険も火災で焼失した農作物まではカバーしない可能性があり、有用性は未知数だ。

 「大麻は無保険の作物だというのが正しい。生産者はその日暮らしだ」とアレン氏は述べた。(ブルームバーグ Jennifer Kaplan)