所得税改革で年収800万円超を「高所得者」へ 個人消費に対する影響懸念も格差是正を優先


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 政府・自民党が、所得税改革をめぐり、増税となる年収の線引きを800万円超とする方向で最終調整に入った。会社員全体の9%を占める800万円超を高所得者とみなしたこととなり、800万円を上回る人は年1万円以上の増税となる。国内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費への影響が懸念されるが、働き方の多様化と、格差の是正に向けた所得再配分機能を優先した格好だ。

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 国税庁によると、民間企業に勤める会社員の平均年収は約420万円で、平均的な収入ならば増税対象にはならない。

 増税対象は、年収800万円超の約9%で、全ての人が受けられる基礎控除が上げられる分を差し引いても、年収850万円ならば今よりも年1万5千円程度、900万円なら年3万円程度、950万円なら年4万5千円程度の増税になる見通しだ。

 政府・自民党が、今回の所得税改革案で高所得者を増税するのは「高所得の会社員に対する控除が今は大きすぎる」(宮沢洋一・自民党税制調査会長)との問題意識が背景にある。給与所得控除は会社員が課税所得を計算する上で収入から差し引ける仕組み。控除額は収入に応じて65万円から段階的に増え、年収1千万円超に適用される220万円が上限となっている。

 この控除は会社員の必要経費とみなされるが、高所得者を中心に実際の経費を上回り、欧米の主要国に比べても手厚すぎると指摘されていた。近年はITの発達を背景に働き方が多様化しており、企業の請負などで自宅で働くケースも増えているが、こうした人は給与所得控除の適用外で、自民党の幹部からも「働き方の多様化に対応すべきだ」との意見が強かった。

 一連の制度見直し後も年収800万円以下の中低所得の会社員は給与所得控除の減額と基礎控除の増額分が見合って手取りに変化は生じない見込み。

 また、安倍晋三政権が政策目的で支援強化を掲げる子育てや介護世帯には配慮する。増税対象となる年収800万円超の人でも子育て・介護世帯であれば負担を減らす方針だ。