【専欄】女性総書記が誕生する日 元滋賀県立大学教授・荒井利明

 先の中国共産党大会と直後の党中央委員会総会で選出された新しい指導部の顔ぶれを眺めながら、中国で女性が最高指導者の総書記になる日があるのだろうかと考えた。

 約9000万人の党員のうち女性は25.7%である。つまり、女性党員は4人に1人でしかないのだが、これでも比率は徐々に増加している。中国共産党は明らかに「男の党」である。

 今回の党大会代表2280人のうち女性は24.2%で、党員比率とそれほど変わらない。ところが、この党大会で選ばれた新しい中央委員会(中央委員204人と中央委員候補172人)は女性が30人で、わずか8.0%でしかない。2012年に開かれた前回党大会で選出された中央委員会(中央委員205人と中央委員候補171人)は女性が33人で、8.8%だった。新しい中央委員会では、女性は数も比率も減っている。

 さらに、新しい中央委員会によって選ばれた政治局員25人のうち女性は1人だけである。その上の政治局常務委員7人の中に女性はいない。ピラミッド型の共産党組織では、上に行くほど、女性の比率が低くなっている。

 共産党が政権を掌握した1949年以降、政治局員はほぼ全員が男性で、女性はいても1人だけである。ただ、例外が2度あり、最初の例外は69~71年で、女性の政治局員が2人いた。最高指導者・毛沢東の妻、江青と、毛沢東に次ぐ指導者・林彪の妻、葉群である。異常な時代における異常な事態だったといえよう。

 次の例外はそれから約40年後の2012年秋に始まる習近平政権の第1期で、この5年間も女性政治局員は2人だった。だが、習近平政権第2期は1人時代に逆戻りした。2人のうち1人は再任されたが、もう1人は70歳を超えており、再任されなかった。新しい女性政治局員が選ばれることもなかった。

 世界を見渡せば、多数の女性が政治の世界で活躍しており、女性が最高指導者の国も増えている。隣の韓国でも今年3月まで、大統領は女性だった。

 中国の歴史で最高権力者の女性がいないわけではない。前回のコラムで紹介した中国ドラマ「ミーユエ 王朝を照らす月」の主人公、ミーユエは、中国統一前の秦で、王の母として政治の実権を握っている。だが、そうした例は多くない。中国人は、政治は「男の領分」と考えているのだろうか。(敬称略)