【高論卓説】「共謀罪」廃止法案は日本に無益 テロの脅威拡大、国際社会から排除 (1/3ページ)

 立憲民主党らが6日、「共謀罪廃止法案」を衆院に共同提出した。犯罪を計画段階から処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織的犯罪処罰法は6月に成立しているが、そもそも論でいえば日本には「共謀罪」法という法律はない。廃止したくとも存在しないといえる。もし、彼らが言うとおり共謀罪がテロ等準備罪を示すならば、廃止法案は日本国民を大いなる危機にさらすことを招くことにならないか。

 テロ等準備罪は廃止された場合、成立により加盟できた「国際組織犯罪防止条約」(TOC条約)からの脱退が視野に入る。そのままだと、資金洗浄(マネーロンダリング)やテロ資金供与対策の国際基準策定機関である金融活動作業部会(FATF)の第4次審査で、日本はブラックリスト入りする可能性が高まる。

 国際テロ対策の要であるTOC条約、加盟できていない国は10カ国であり、非加盟国は自治国や戦争状態にある国など治安が不安定な国だけだ。日本はテロを未然に防ぐ法が整備されていなかったことにより加盟を許されていなかった。それが今年8月に法整備が完了したことでやっと締結に至った。日本はTOC条約に加盟できていなかったため、長い間、国際社会で一般化している捜査機関間の情報交換や犯人引き渡しができない状態に置かれていた。

 日本はFATFの第3次審査で強い批判を受け、対処しない場合、ブラックリスト入りさせると警告を受けていた。

人の移動も監視の対象になり、自由な経済活動ができなくなる