日銀総裁 物価目標「なお距離」 緩和策、金融機関へ影響考慮

講演する日銀の黒田東彦総裁=7日、東京都内のホテル
講演する日銀の黒田東彦総裁=7日、東京都内のホテル【拡大】

 日銀の黒田東彦総裁は7日、都内で講演し、短期金利をマイナス0.1%、長期金利を0%程度に抑える現在の金融緩和策について、「貸出・社債金利への波及、経済や金融仲介機能への影響などを踏まえて判断する」と述べ、金融機関への影響も考慮して運営する考えを強調した。

 ただ、現在のところ、金融仲介機能に影響を及ぼしていないと判断。金融緩和策が「経済を大きく改善させる効果があることははっきりしている」として、物価上昇率2%目標の実現に向け、強力な金融緩和を粘り強く進めていく方針を改めて示した。

 物価動向については、足元の全国消費者物価(生鮮食品を除く)は10月で前年同月比0.8%上昇にとどまるなど、2%の物価上昇目標までに「なお距離がある」との認識を示した。この理由について、「緩やかに賃金が上昇しているにもかかわらず企業の製品やサービスの価格にあまり波及していない」と指摘。人手不足が深刻な飲食、小売り、建設といった業種で、ソフトウエアへの投資が増加し、賃金コストの上昇を吸収しているため、とした。

 ただ、「値上げにチャレンジする動きと、躊躇(ちゅうちょ)する動きが混在するが、いずれ価格設定スタンスを積極化させる動きが優勢になる」との見方を示した。

 金融緩和が行き過ぎると金融仲介機能に悪影響を与え、緩和効果がそがれるという「リバーサル・レート」理論が市場で注目されていることについては、「学術的な分析にとどまり、実証は伴っていない様子」と述べた。