18年も主役は中国人観光客 アジアの空港、引き続き利益堅調

 アジア太平洋全域で航空輸送需要が拡大しており、2018年も地域の空港事業者の利益は引き続き堅調な伸びとなる見通しだ。東南アジア、韓国、オーストラリアの空港、ならびに中国の主要地方空港への航空交通量のシフトが予想される。

 ◆域内旅行増加を期待

 所得の伸び鈍化や自国通貨安から、アジアの旅行者は高額の長距離旅行を延期する可能性が高い。代わりに域内旅行が増えれば、アジアの空港はプラスの影響を受けるだろう。タイ、マレーシア、ベトナムなど、低コストの観光地への恩恵が大きい。また、政治的な緊張も航空交通の動きに影響を与える。17年は、中国人観光客は韓国と台湾を避け、日本を旅行先に選ぶ傾向が見られた。タイ空港公社やマレーシア・エアポーツ、日本空港ビルデングが、アジア内の観光需要拡大から恩恵を受けるだろう。

 中国人の長距離旅行先としては、米国、フランス、ドイツ、オーストラリアの人気が高い。15年以降、中国人民元はユーロと豪ドルに対して10%以上下落している。ドルに対しては16年後半に7%下落したが、17年には元の水準に戻った。中国政府が韓国への団体旅行販売を解禁すれば、日本の空港は中国人旅行者誘致のための激しい競争に直面することになろう。

 ミサイル防衛システム配備に抗議する中国からの一部観光客が旅行先を日本に変えたため、日本の主要空港で中国人観光客が増えた。中国-韓国便の再開に伴い、日本の空港ターミナルでは、中国人を主要顧客とする免税店の売上高伸び鈍化が予想される。

 韓国に代わる旅行先として日本の人気は高い。17年7~9月期の中国人到着数は、韓国が63%減少したのに対し日本は18%増加した。中国人観光客が再び韓国に旅行するようになれば、日本への増加ペースは減速するだろう。16年は、中国人観光客の海外旅行先として韓国が2番目に多かった。

 中国航空会社の発着が週180便の割当枠に達したため、中国-米国間の航空輸送量の伸びは今後鈍化する公算が大きい。中国の航空会社が増便を計画する豪州や欧州など、他の長距離目的地が恩恵を受けるだろう。16年に航空自由化(オープンスカイ)協定が合意された中国-豪州間の航空輸送量は、上限なく増加する可能性がある。2国間の発着枠が2.5倍の週100便へ拡大した中国-英国間も、交通量増加が見込まれる。

 フランスは、中国との2国間発着枠を週126便に増やすとする協定合意から恩恵を受け得る。米国は、中国の空港のキャパシティーが改善されるまでは発着枠を拡大しない可能性が高い。19年に北京と上海に新空港が開設される見通しで、発着枠が拡大されるとすればその後ということになるだろう。

 航空交通のシェアが縮小傾向にある北京首都国際空港と上海国際空港は、短期的な利益成長のために非航空業務に注力する必要が出てこよう。

 ◆主要ハブ拠点を迂回

 旅客数が2000万を超える中国の空港は11年は8都市だったが、16年には17都市に増加し、地方都市へ国際直行便を飛ばす商業的合理性が高まった。空港のキャパシティーに余裕がないことも、主要ハブ空港を迂回(うかい)する一因となっている。19年に北京と上海に新たな空港が開港すれば、タイト感が緩むだろう。

 中国の航空会社の直行国際便が増加すれば、香港とシンガポールでは中継地としての役割が薄れ、交通量が減少するだろう。だが、中国や東南アジア発の長距離便の需要が高まり座席数が足りなくなれば、これを補うため中継ハブ(拠点)空港の交通量が増える可能性はある。(ブルームバーグ Denise Wong)