18年度税制改正 国際観光旅客税と森林環境税を創設 無駄遣いの温床を懸念 (1/2ページ)

海外旅行客の出国ラッシュで混雑する成田空港。出国時に1人1000円を徴収する新税が導入される=8月、千葉県成田市
海外旅行客の出国ラッシュで混雑する成田空港。出国時に1人1000円を徴収する新税が導入される=8月、千葉県成田市【拡大】

 2018年度税制改正大綱には、出国時に徴収する「国際観光旅客税」と市町村の森林整備費を賄う「森林環境税」の2つの新税創設が盛り込まれた。国・地方の財政が厳しい中、使い道を観光振興と森林整備に限る新税創設で新たな財源を確保する狙い。ただ、特定の目的で設けられた税金は、得られた税収を使い切ろうとして無駄遣いの温床になる懸念もあり、透明性の高い運用が求められる。

 出国時に1人当たり1000円を徴収する国際観光旅客税を19年1月に導入することで、観光庁の17年度当初予算の2倍となる約400億円が財源となる。使い道としては、出入国手続きの円滑化や海外での宣伝強化などが検討されている。

 この新税は、東京五輪・パラリンピックが開かれる20年の訪日客4000万人の目標必達にこだわる首相官邸主導で、今夏に構想が急浮上。観光庁の有識者会議が議論を始め、わずか2カ月という異例の早さで制度の骨格が仕上がり、11月には自民党内でも早々に創設の方向性が固まった。年末の自民党税制調査会の議論を経ずに制度設計が既にできあがっていたことに、自民党内でも「もう少し党内での議論を尽くしても良かったのではないか」(中堅議員)との声も漏れた。

 もう一つの新税である森林環境税は、個人住民税に1人年1000円を上乗せする形で24年度に導入され、年間約620億円の税収が見込まれている。税収の使い道については、森林の間伐や木材利用促進などに充てるとしている。

 もっとも、2つの新税とも使い道には課題を残す。国際観光旅客税は「観光資源の整備」、森林環境税は「人材育成や木材利用の普及啓発」などと、定める使途が広く、曖昧な点も残しているからだ。

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