歳出改革はかけ声倒れ…北朝鮮情勢が圧迫 予算案、財政再建の本気度見えず

護衛艦「いずも」(奥)と護衛艦「さざなみ」=6月20日、南シナ海(自衛隊ヘリから、松本健吾撮影)
護衛艦「いずも」(奥)と護衛艦「さざなみ」=6月20日、南シナ海(自衛隊ヘリから、松本健吾撮影)【拡大】

  • 閣議に臨む(左から)石井国交相、茂木経済再生相、安倍首相、麻生財務相、野田総務相=22日午前、首相官邸

 政府が22日閣議決定した平成30年度予算案は防衛費と社会保障費がいずれも過去最大となり、歳出抜本改革はまたかけ声倒れに終わった。

 緊迫する北朝鮮情勢を念頭に防衛費は早々に増額方針で固まり、衆院選での与党圧勝に貢献した日本医師会への配慮から、焦点だった医師の診療報酬もアップで決まった。結果として、基礎的財政収支は約10兆4千億円の赤字が残る見通しで、財政再建はほぼ進展を見なかった。

 防衛費は安倍晋三政権下で右肩上がりを続ける。30年度は、首相が「国難」と位置づける北朝鮮情勢を理由に、ミサイル防衛の強化に向け増額に拍車が掛かった。

 医師の人件費などに当たる診療報酬本体部分のプラス改定は、選挙で自民党を支えた医師会への見返りとされる。報酬引き上げは税金や保険料、病院での窓口支払いを通じて国民の負担増に直結する。賃上げが社会一般に求められているとはいえ、既に高額な医師の報酬をさらに優遇することへの納得感は乏しい。

 政府は「全世代型の社会保障」への転換を唱え、31年10月に予定される消費税増税の増収分を使って教育無償化に1兆7千億円をつぎ込むことを決めた。

 防衛費も北朝鮮の脅威や米国製武器の購入拡大を迫るトランプ米大統領の要請に対応し、この先も膨らんでいく可能性が強い。

 高齢者向けの給付見直しなど痛みを伴う社会保障改革や武器調達の見直しをはじめとした防衛費の効率化の議論は置き去りで、財政再建に向けた本気度は乏しく見えた。

30年度予算案を閣議決定 総額最大97兆7128億円 防衛費、社会保障費が拡大