【高論卓説】「家庭養育原則」どう実現するか (1/2ページ)

 ■養親、里親、小規模ホーム…支援手厚く

 親からの虐待にあった子供や、望まない妊娠によって生まれた子供など、親元で育てることができない子供を、どう社会全体で育てていくか。厚生労働省の検討会が8月にまとめた「新しい社会的養育ビジョン」を具体的な政策に落とす作業が、厚労省の社会保障審議会の「社会的養育専門委員会」で本格化する。

 2016年に改正された児童福祉法は、この分野に関わる人たちの誰もが「画期的」という内容だった。1947年の法制定後初めて理念にかかわる改正が行われ、子供は誰もが健全に育てられる権利を持つという「子ども権利条約」の精神が取り入れられたからだ。改正法には「(子供の)最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成」するよう努めると明記された。

 その上で、実の親から子供を離して養育する場合でも、できるだけ家庭と同様の「良好な家庭的環境」で養育すべきだと改正法で規定された。欧米先進国では一般的になっている「家庭養育原則」を日本でも明記したわけだ。

 その中でも重視されたのが特別養子縁組だ。実の親との法的な関係を断って、新たな親と法的な親子関係を構築するもので、子供は養親の下で実の子として育つ。日本では年間500人ほどと、まだまだ数が少ないが、「ビジョン」では、これを5年以内に1000人以上に増やしていこうということが盛り込まれた。

 特別養子縁組が難しい場合には、里親の元で暮らすことが奨励され、里親への包括的な支援体制の強化などがうたわれている。施設に入所させる場合も、小規模な「ファミリーホーム」とし、家庭的な環境で育てることを求めている。

改正法で「家庭的環境」の概念が変わる