【専欄】中国語は最強のソフトパワー? ノンフィクション作家・青樹明子 (1/2ページ)

 ここ数年、中国で流行語となっている「網紅(ワンホン)」とは、ネットアイドルである。ネット人口7億以上といわれる中国の場合、その影響力はすさまじい。

 今年の秋、「網紅」の一人に6歳のアメリカ人少女がランクインした。トランプ米大統領の孫娘アラベラさんである。

 トランプ大統領訪中の折、習近平国家主席が主催した晩餐(ばんさん)会で、大型スクリーンに映し出されたアラベラさんは、白いチャイナドレスを着て中国語の歌を披露した。中国の童謡〈我們的田野〉である。前日にアラベラさんが、唐詩と「三字経」を諳んじる様子もネットにアップされている。三字経とは中国の子供たちの学習書で、中央電視台の番組では「中国の子供たちも、このレベルに達するのは容易ではない」とコメントした。

 アラベラさんの中国語が米中関係にもたらした効果は計り知れない。ニュースメディアでは「アラベラさんの登場で、米中間に存在した硬い空気が一気に和らいだ」とし、文化の力を改めて強調している。

 確かに、中国語の学習人気は世界的にも非常に高い。海外のサイトで紹介されていた「世界で最も影響力のある言語ランキング」によると、中国語は5位なのだそうだ。1位はもちろん英語で、日本語は9位である。 そもそも中国語を母国語とする人は約14億人と、世界でも最多である。加えて中国語を学ぶ人が増えていくほど、世界に及ぼす影響力も拡大する。世界各地で「英語が通じなければ中国語で」というのは共通認識になりつつある。私の友人は、アフリカの辺鄙(へんぴ)な地方都市でバスの乗り方がわからなかったとき、“ダメ元”で中国語を使ってみたら通じたという。

中国語は英語に代わる地位を獲得できるか