大ヒット曲ない老舗バンド大奮闘

デペッシュ・モードは今月上旬、スペイン公演を開催(AP)
デペッシュ・モードは今月上旬、スペイン公演を開催(AP)【拡大】

 米国のヒットチャートでナンバーワンになったことのない1980年代初めに結成されたバンドが、世界のどの大物ポップスターよりも多くのコンサートチケットを売り上げている。

 英国出身のデペッシュ・モードは今年1~9月、127万枚のチケットを売った。現代のミュージックシーンでは傑出した売り上げで、デペッシュ・モードにとっても最も成功したツアーとなった。エド・シーランやジャスティン・ビーバーといったずっと若いポップスターもかなわない。

 デペッシュ・モードは同10月、ロサンゼルスのハリウッドボウルで公演。ビートルズやルチアーノ・パヴァロッティといった音楽界の超大物を迎えてきたこの屋外コンサート会場で、初めて4回連続でチケットを完売させた。今後は2回目の欧州ツアーの後、2018年は中南米で公演する。アルバムセールスのピークが20年以上前だったバンドにとっては悪くない。デペッシュ・モードのギタリスト、マーティン・ゴアは「観客が増えており、バンドのキャリアを考えると全く信じ難い」と言う。

 北米コンサート業界の規模は16年、73億ドル(約8270億円)。デペッシュ・モードのような経歴を重ねたバンドやシンガーがコンサート売上高の大部分を占めた。調査会社ポールスターによれば、17年最高のツアーはガンズ・アンド・ローゼズとU2。いずれのバンドもベストセラーアルバムは30年ほど前だ。

 デリー・ラミン・モラザデーさんは14歳だった1984年、ロサンゼルスのラジオ局KROQから流れてくる「ピープル・アー・ピープル」を聴いて母親にタワーレコードに連れて行くよう頼んだ。デペッシュ・モードの新譜を買うためだ。以来、デペッシュ・モードのライブに30回以上足を運んでいる。直近のツアーだけでも7公演に駆け付け、チケット代やその他の商品に今年2000ドル以上を費やした。

 メタリカやテイラー・スウィフトら音楽の新たな配信方法に抵抗するミュージシャンもいるが、デペッシュ・モードのマネジャー、ジョナサン・ケスラー氏はアップルの「iTunes(アイチューンズ)」やスポティファイのような新たなテクノロジーを受け入れるよう助言している。

 デペッシュ・モードはツアー告知の一環として、フェイスブックのページを毎日1人ずつファンに委ね、バンドにまつわる話や写真をシェアしてもらうようにした。ファンの中核を成すのは35~60歳の世界中の人々。今年40回以上も演奏を聴いたというファンもいて、「いいね!」は730万にも達した。(ブルームバーグ Lucas Shaw)