「しばらく保有するしか…」 乱高下のビットコインに戸惑う投資家 安全網の整備課題 (2/2ページ)

仮想通貨「ビットコイン(BTC)」(ロイター)
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 とはいえ、BTCは民法で定める通貨でも金融商品取引法の金融商品でもない。通貨と認め、金融商品と同じような扱いとするのであれば、さらに厳格な規制が求められる。

 特に金融商品取引法は、株式や債券などの価格を意図的に変動させる相場操縦や、取引などのために虚偽情報を流す「風説の流布」を禁じているが、BTCには適用されない。BTCは株式に比べて取引規模が小さく、悪質な投機で相場が乱れ、価格が急落するリスクは大きい。

 東京都渋谷区の男性会社員(38)は今夏、BTCなどに10万円を投じ、現在は資産額が5倍以上に膨らんだ。ただ、最近のBTC価格の乱高下には当惑気味。「どう対応していいか分からないので、しばらくはそのまま保有するが、最悪資産がゼロになっても仕方ない」とこぼす。

 BTC価格を押し上げてきた要因の一つに分裂がある。8月に分裂し新たなコインが誕生した際には、BTC保有者は同数の新コインがもらえ財産が増えた。年明け早々にも新たな分裂が取り沙汰され、買いを集める可能性がある。一方、派生コインにはセキュリティー上の欠陥を指摘する声もあり、投資家も慎重になってきた。

 情報サイト「コインヒルズ」によると、BTCの世界での取引のうち日本円が占める割合は4割超と首位。“日本マネー”の流入が加速する中、投資家が過度な被害を受けない制度整備が求められる。(中村智隆)