パリに「万博」前線基地…財界、企業、関西総出で誘致へ全力 (2/3ページ)

2025年万博立候補地と今後のスケジュール。大阪は財界あげて誘致に全力をあげる
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BIE加盟国を全力で説得へ

 万博の大阪誘致に向けて関西経済連合会がフランス・パリに事務所を置くのは、今年秋にかけて、博覧会国際事務局(BIE)の加盟国の票をめぐり、激しい争奪戦が予想されるためだ。誘致活動で関西財界が存在感を発揮し、積極的なPRに乗り出す。企業が海外での事業展開で培った人材や人脈を駆使した「奥の手」で誘致成功をたぐり寄せられるか、正念場を迎える。

 万博誘致に向けた支持獲得をめぐっては、関西財界に楽観論と悲観論が交錯している。

 関経連の松本正義会長は、昨年11月のパリのBIE総会で行われた2回目のプレゼンテーションを「日本が地に足のついた活動(途上国支援など)をしていると印象づけた」と評価する一方、「加盟国にどうアプローチをするか。経済人が馬力をかけてやる必要がある」と指摘する。

 「ワイン漬けになった(フランスでの生活に慣れた)加盟国代表をどう説得できるかが勝負だ」。ある財界関係者はこう話す。BIE加盟国代表は、BIE本部があるパリに在住しているケースが多い。フランスびいきは否めないとの懸念の声があがる。

 ロシアのプーチン大統領が東欧や中東に持つ影響力も無視できない。経済成長が期待できる新興国としてアゼルバイジャンに傾くBIE加盟国が出てくる可能性もある。

 これまで、各国の支持獲得は政府の外交交渉を主体に進められ、民間は主に国内機運の醸成を担ってきた。関西財界は企業を動員してポスターを掲示するなど周知活動を展開。昨年12月27日現在で万博誘致委員会の会員数は20万2千人・団体、署名などでの誘致賛同者数は8万8千人に達した。