【Q&A】イランデモの背景は? 核合意後も経済低迷で失望

 昨年末、イランで火がついた抗議デモは地方の都市から全土へと拡大した。デモが起きた理由と背景をまとめた。(佐藤貴生)

 Q発端は

 A物価高など経済低迷への不満だ。イランの失業率は約13%で、若者に限るとさらに高いといわれる。核・ミサイル開発疑惑などで長年、欧米から経済制裁を受けてきたことが低迷の一因だ。特に、2015年に欧米など6カ国と核合意を結んだことで、経済制裁が解除されて海外からの投資が増え、経済が上向くとの期待があったが、実現していないことが大きい。

 Q投資はなぜ増えない

 Aイランが核開発を制限する代わりに欧米側が制裁を解除する核合意について、トランプ米大統領が「最悪だ」と批判し、合意破棄の余地を残しているからだ。米国の判断次第では、投資に見合う利益が回収できなくなるとの懸念が各国の企業にある。米国は昨年10月、圧力強化を柱とする新イラン戦略を発表した。一方、欧州は核合意は意義あるものだという立場を示している。

 Q今後の焦点は

 Aイランの政権側がどうデモに対処するかだ。デモ拡大につれて抗議は政治的な内容に変わりつつあり、シーア派最高指導者ハメネイ師や穏健派のロウハニ大統領も批判の的になっている。1979年のイスラム革命により成立した「ベラーヤテ・ファギー」(イスラム法学者による統治)を国是とする政教一致の体制にかかわる問題だけに、長期化は避けたいのが本音だろう。