証券マンは職業的楽観論に立つ。彼らから「今年の日経平均の高値は3万円」の声が多く上がっても驚きはしない。割り引いて受け止めればいい。しかし、日本を代表する経営者らの間でも強気派が大勢を占めているのは意外だった。日本経済新聞恒例の新春経営者株価アンケートによると、さすがに3万円はなかったが、20人中17人が今年の日経平均の高値メドを2万5000円以上と答えていた。業績の先行きに増益の確かな手応えを感じている表れでもあるのだろう。
もっとも、強気派が大勢を占めているのに安心してはいられない。1920、30年代のアメリカを活写した名著『アスピリン・エイジ』(イザベル・レイトン編、ハヤカワ文庫)の書名にあやかれば、ここ数年来の世界の株式市場は“カンフル剤エイジ”だった。市場に供給された過剰なマネーが株高を支えたからだ。4月に任期を迎える日銀総裁は黒田東彦総裁の続投説が有力だが、新総裁が就任すれば異次元金融緩和の見直し機運が出てきても不思議はない。
株高で役割が薄れた日銀の上場投資信託(ETF)買いの規模が縮小する可能性もある。トランプ大統領の政権基盤は揺らぎ続け、ツイッターでの“トンデモ発言”は止まらない。北朝鮮情勢も依然、不穏だ。懸念材料はめじろ押しだ。