宗教・地政学リスクが高まるエルサレム 米国の宣言は“第3次石油危機”を招くか (1/7ページ)

 12月18日、国連安全保障理事会は、エルサレムをイスラエルの「首都」と認定した米トランプ政権に撤回を求める決議案を採決しました。米国が拒否権を発動し、廃案となりましたが、なぜ各国は米国と真っ向から対立しているのか。それはこの問題が「第3次石油危機」を招くリスクを秘めた大問題だからです。問題の背景をカントリーリスクの専門家・茂木寿氏が解説します--。

 世界3大一神教の聖地エルサレム

 最初に、エルサレムという都市はどのようなところなのかを押さえておきましょう。旧約聖書のエイブラハムの時代から派生したとされるユダヤ教、キリスト教、イスラム教の「世界3大一神教」の共通の聖地がエルサレムです。エルサレムは、ユダヤ教にとってはダビデ王、ソロモン王時代の神殿があった場所、キリスト教にとってはイエス・キリストが布教し、磔刑・復活した場所、イスラム教にとってはムハンマドが昇天した場所となっています。

 特に東エルサレムにある旧市街(約10の門がある城壁に囲まれた地域)は神殿の丘と呼ばれる場所を中心に、イスラム教徒地区、キリスト教徒地区、アルメニア人地区、ユダヤ人地区に分かれています。その中心部にある神殿の丘には、8世紀初期に建立されたイスラム教で最も古いモスクの一つであるアル=アクサー・モスクの他、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教にとって重要な関わりを持つ聖なる岩を祀る黄金のドーム等があります。

聖書の持ち込みも禁止、神殿の丘の現状