宗教・地政学リスクが高まるエルサレム 米国の宣言は“第3次石油危機”を招くか (3/7ページ)

 地政学リスクの中心地イスラエル

 イスラエルの歴史については、ここでは詳細な説明は省きますが、紀元前20世紀以降から現代に至るおおよその歴史は以下の通りです。この波乱に満ちた歴史が、世界の中でもイスラエルを地政学リスクが最も高い地域のひとつに押し上げていると言えます。

 エイブラハムによる移住⇒12部族時代⇒エジプトへの移住⇒エジプトからの帰還(出エジプト)⇒イスラエル王国(ダビデ王・ソロモン王)⇒イスラエル王国とユダ王国の分裂⇒アッシリアによる征服(バビロン捕囚)⇒イスラエル王国の再建⇒ローマ帝国による征服⇒ユダヤ人の離散⇒ビサンチン帝国による統治⇒イスラム教徒による統治⇒十字軍による征服⇒アイユーブ朝(イスラム)による統治⇒オスマントルコ帝国(イスラム)による統治⇒英国委任統治領⇒国連のパレスチナ分割決議⇒独立宣言⇒独立戦争を含め4回の中東戦争⇒中東和平(オスロ合意)⇒中東和平の停滞……

 イスラエルは1948年5月14日に独立を宣言しましたが、これに反発するアラブ諸国との間で第1次中東戦争(イスラエル独立戦争)、1956年7月には第2次中東戦争、1967年6月には第3次中東戦争が勃発し、イスラエルがゴラン高原、東エルサレムを含むヨルダン川西岸全域、ガザ地区、シナイ半島を占領しました。これに対しアラブ諸国は1973年10月に失地回復のため、イスラエルに攻め込み、第4次中東戦争が勃発しています。何れの戦争でも、イスラエルは敗北することはありませんでしたが、アラブ諸国との間の関係は決定的に悪化することとなりました。

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