実質賃金0.1%増 29年11月、11カ月ぶり増加 物価上昇に賃上げ追いつく デフレ脱却へ、30年春闘がカギ (1/2ページ)

 厚生労働省が9日発表した平成29年11月の毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上の事業所)によると、賃金の伸びから物価変動の影響を差し引いた実質賃金は前年同月比で0.1%増加した。増加は11カ月ぶりで、物価上昇に賃金増がようやく追いついた。安倍晋三首相は30年春闘で経済界に3%以上の賃上げを要請しており、どこまで波及するかが、政権が目指すデフレ脱却のカギを握る。

 1人当たりの名目賃金にあたる現金給与総額は0.9%増の27万8173円で、4カ月連続のプラスとなった。基本給を含む所定内給与が0.4%増の24万1303円と8カ月連続で伸び、残業などの所定外給与も2.6%増の2万467円に上昇した。さらに賞与などの特別に支払われた給与も7.5%増の1万6403円となった。

 11月はエネルギー価格上昇を受けて消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)も0.7%上昇したため、実質賃金の伸びが抑えられたが、厚労省は実質賃金が11カ月ぶりに増えたことについて「給与全体の伸びが続いている」とした。

 今後の焦点は高い賃金上昇の流れが継続するかどうかだ。経団連の集計によると、大企業の賃上げ率は29年まで4年連続で2%を超えた。ただ、それでもデフレ脱却には結びついていない。このため安倍首相は、今月5日の経済3団体の新年祝賀会で、企業トップらに「3%(の賃上げ)をお願いしたい」と、直接、賃上げを要請した。

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